英ウェールズの首府カーディフはPSTN廃止の動きに伴い、教育機関の通信システムをクラウドサービス型のシステムに切り替えた。どのような効果を見込むのか。
英国の通信会社BTは、従来の銅線によるPSTN(公衆交換電話網)とISDN回線に基づくサービスの廃止に向け、2019年から準備を進めている。これらの廃止に危機感を抱く向きがある一方、英国ウェールズの首府カーディフの市議会は好機と捉えた。同市内の教育機関の通信システムを見直し、どのような効果を見込むのか。
カーディフ市議会は、教育機関の通信システムのDX(デジタルトランスフォーメーション)に着手した。コミュニケーションツールベンダーAvayaが提供するクラウドサービス型のユニファイドコミュニケーション(UC)システム「Avaya Cloud Office by Ring Central」(以下、Avaya Cloud Office)を導入し、教職員が校舎内外のどこからでも同一の番号で連絡が取れるようにして、柔軟な働き方を促す。
同市議会でICTサービス運用マネジャーを務めるヒュー・デビッド氏は、Avaya Cloud Officeの導入理由を次のように語る。「PSTNの廃止期限までに、別の通信システムに移行する必要があっただけではない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)のように、再び外出が制限される事態になっても、規模の経済と事業継続性を実現できる通信システムを導入する機会でもあった」
「当市内の教育機関の通信システムは、長年にわたって無計画に拡大されてきた。各学校が独自の契約を交わし、さまざまな技術を利用している」とデビッド氏は述べる。
「カーディフの教育機関全体で電話に年間約60万ポンドを費やしていることが分かった。Avaya Cloud Officeに切り替えれば、約35万ポンドのコスト削減を見込める。公共分野から他の分野に振り分けられる貴重なコストだ」(デビッド氏)
移行に着手してから18カ月余りで、約2500人の教職員がAvaya Cloud Officeに移行した。
カーディフ市議会は公共の組織であるため、定められた調達プロセスに準拠しなければならず、市場に出回る複数のツールを評価する必要があった。同市議会の教育部門が適切なツールを導入するのを支援したのは、英国企業FourNetだ。同社はAvayaのパートナー企業で、公共分野のDXを専門としている。
同市議会は移行スケジュールを前倒しで進めており、同市内の教育機関128校のうち72校が既に移行を完了した。コストパフォーマンスと規模の経済が向上した他、IT管理者の利便性も増した。
Avayaの英国およびアイルランド担当バイスプレジデントを務めるスティーブ・ジョイナー氏は「PSTNの廃止は、教育機関の通信システムを見直す好機だ。サイロ化された個別の技術を統合すると、何が可能になるかを考える機会でもある」と述べる。
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