“サーバ管理地獄”から早く抜け出そう 「インフラ自動化」の基本と重要性いまさら聞けない「インフラ自動化」【前編】

人手に頼ったITインフラの構築や運用は、非効率的で人的ミスの温床になり得る。業務の効率化やコスト削減を実現するために欠かせないインフラ自動化の基本や重要性、最新の技術動向を分かりやすく解説する。

2025年06月09日 05時00分 公開
[Chris TozziTechTarget]

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 インフラ自動化とは、ITインフラのプロビジョニング(配備)、管理、監視に関するプロセスをツールによって自動化することだ。

 ここでいうITインフラとは、企業が目標を達成するのに役立つさまざまな形式のIT資産を指す。オンプレミスサーバ、ノートPC、クラウドサービスに構築した仮想マシンだけではなく、OS、ネットワーク、データベースなどもITインフラに含まれる。

 従来、企業はこうしたITインフラの構築や管理を手動で実施していた。インフラ自動化を活用すれば、これらのプロセスを自動化し、人手による作業を削減でき、さまざまな効果が期待できる。企業はなぜインフラ自動化に取り組むべきなのか。インフラ自動化によって、どのような作業の省力化が期待できるのか。

インフラ自動化の重要性

 ITインフラの管理は非常に複雑な業務だ。ITインフラ関連の業務自動化が進むほど、企業はより効率的にシステムを運用できるようになる。ただし、全ての企業にとって自動化が不可欠とは限らない。利用しているPCやサーバが少ない企業であれば、手動でも問題なく管理できる場合がある。

 一方で、大半の企業は複数のPCを運用し、オンプレミスサーバやクラウドサービス内の仮想サーバを持ち、ネットワークを通じてこれらの資産間でデータをやりとりしている。こうした大規模かつ複雑なITインフラを管理するには、自動化が不可欠だ。

インフラ自動化の仕組み

 インフラ自動化は、ツールを使って各種タスクを実行し、管理者の関与を少なくするために活用できる。ただ、いきなりツールを導入するのではなく、まずルールやポリシーを定義し、それに基づいてツールを設定、展開することが重要だ。

 以下に代表的なインフラ自動化の例を示す。

1.サーバプロビジョニング

 アプリケーションやデータのホスティングのために、数百台から数千台のサーバを手動で導入、設定するのは非現実的だ。自動化を導入することで、高速かつ大規模なプロビジョニングが可能となる。

 特にクラウドサービス内の仮想サーバにおいては、「IaC」(Infrastructure as Code)ツールが有効だ。IaCツールは定義ファイルを基に、複数のサーバを同時に設定できる。サーバの構成手順を設定ファイルに記述すれば、ツールが自動的にサーバをプロビジョニングし、必要なソフトウェアをインストールする。

2.ソフトウェアの更新

 ソフトウェアの更新は、性能やセキュリティを維持する上で欠かせない。しかし、OSやアプリケーションによって更新手順が異なるため、手動での実施は非効率だ。

 インフラ自動化ツールは、古いバージョンのアプリケーションを自動的に検出し、定義されたポリシーに基づいた更新が可能だ。これによって、管理者の手間を大幅に削減できる。

3.アプリケーションのデプロイ(展開)

 手作業でアプリケーションの配置や設定をするのは煩雑だが、コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」などのインフラ自動化サービスを使えば、デプロイも自動化できる。

 Kubernetesであれば、管理者が実行するアプリケーションを定義するだけで、サーバクラスタ内のどのサーバで実行するかを自動で判断してデプロイする。

4.ネットワーク監視

 インフラ自動化は、ネットワークトラブルの検出と解決にも役立つ。特定のエンドポイントからのトラフィックが通信路を圧迫している場合、自動化ツールはそのエンドポイントの通信をブロックし、管理者が手動で設定を変更することなくネットワーク障害を防ぐことができる。


 次回は、インフラ自動化のメリット、課題と主要ツールを紹介する。

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