そのプライバシー対策、実は“時代遅れ”かも? NISTが示す新基準公開から5年後の改訂

米国立標準技術研究所(NIST)が、2020年に公開したプライバシーリスクに関する枠組みの改訂を控えている。その目的は何か。

2025年06月12日 06時00分 公開
[Jill McKeonTechTarget]

 米国立標準技術研究所(NIST)は2025年4月、組織のプライバシーリスクに関するフレームワーク(行動指針)「Privacy Framework」(以下、PF)の改訂版「PF 1.1」の制定に向けた初期公開ドラフト(Initial Public Draft:IPD)を公開した。2020年1月、PFの初版1.0が公開されてから初めての改訂となる。その狙いは。

PF 1.1の狙いは?

 PFの改訂は、フレームワークの使いやすさを高めるとともに、2024年2月にNISTが公開した組織のサイバーセキュリティ対策に関するフレームワーク「NIST CFS」(NIST Cybersecurity Framework)との整合性を高めることを目的としている。

 改訂に当たってIPDは、NIST CFSのバージョン2.0(以下、CFS 2.0)の構成を採用。人工知能(AI)やプライバシーリスク管理に関する新たな項目を追加した。

 PF 1.1は、CSF 2.0と同様に以下の3つの要素で構成されている。

  1. コア(Core)
    • 組織がプライバシーリスクを管理するために取り組むべき共通の活動の一覧
  2. 組織プロファイル(Organizational Profiles)
    • プライバシーに関する組織の慣行を評価し、目標を定義するための枠組み
  3. ティア(Tiers)
    • プライバシーリスク管理のプロセスの成熟度や洗練度を評価する基準

 NIST CSFとPFを併用することで、プライバシーやセキュリティ施策をより効果的に進めることが可能となる見通しだ。

 PFは、対象となる組織の業種や技術を限定していない。さまざまな組織が、自社のプライバシーポリシーの公開や、プライバシーを念頭に置いたシステム設計、社内外との連携を進めることで、プライバシーリスクを適切に管理できるようにするためのものだ。

 PF 1.1は、Coreの見直しを進めている。Coreは、プライバシーリスクに関する取り組み方や、目指すべき結果について組織で話し合うための土台となるものだ。IPDは、特にCSF 2.0の「統治」(Govern)、「防御」(Protect)との整合性の維持に重点を置いている。

 IPDには、AIとプライバシーリスクの関連性に焦点を当てた新たなセクションが追加された。PF 1.0が、AIチャットbotをはじめとしたAIツールの普及以前に公開されたためだ。PF 1.1には、PF 1.1を活用することでAI関連のリスクにどのように対処できるかも示される計画だ。

 NISTは、PF 1.1を文書ではなく専用のWebサイトで公開することを見込んでいる。これによって、文言を迅速に更新したり、エンドユーザーのニーズに速やかに対処したりしやすくなる。

 NISTは、IPDに対する意見を2025年6月13日(現地時間)まで受け付け、その後最終版の策定を進める。

TechTarget.AIとは

TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国Informa TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...