混同しがちな「Zoom Workplace」「Zoom Meetings」「Zoom Rooms」の違い:ZoomのWeb会議サービスをおさらい
「Zoom Workplace」「Zoom Meetings」「Zoom Rooms」など、ZoomのWeb会議サービスには違いが分かりにくい名称がある。Zoomのサービスの違いについてまとめた。
Zoom Communicationsが提供するWeb会議サービス「Zoom」は、今や多くの人にとって業務に欠かせない存在だ。その利用が拡大し、Zoomの機能拡充が実施される一方で、Zoomの各種Web会議サービスや機能の違いが分かりづらいという混乱も生じている。「Zoom Workplace」や「Zoom Meetings」「Zoom Rooms」の違いをまとめた。
「Zoom Workplace」「Zoom Meetings」「Zoom Rooms」の違い
Zoomのサービスの中では、Zoom MeetingsとZoom Roomsという2つのサービスが混同されやすい。Zoom Meetingsは、「Zoom Workplace」と名称変更されたコラボレーションツール群の中心的な構成要素であり、Zoom WorkplaceのコアとなるWeb会議機能を提供している。
一方のZoom Roomsは、専用のハードウェアおよびソフトウェアを使用してZoomのWeb会議に参加するための追加の方法であり、個人の作業環境やハドルルーム(予約不要の少人数会議室)、複数人用の会議室に特化して設計されている。
Zoom MeetingsとZoom Roomsの比較においては、「どちらが優れているか」ではなく、「自社にとって専用ハードウェアやソフトウェアを用いた会議室が必要かどうか」という視点が重要となる。Zoom Roomは、多人数の会議室と他の会議参加者をWeb会議で接続する組織にとっては非常に便利だ。しかし、ハドルルームや会議室をあまり使わない組織にとっては、導入のメリットは大きくない。
予算や拡張性も、選定に影響する要素だ。Zoom Roomsの利用には個別のライセンスが必要であり、加えてモニターやマイク、ビデオカメラなどの機器を購入、設置する必要もある。こうした機器の導入費用は安くはなく、5〜7年ごとに更新が求められる。
Zoom Workplaceのライセンスプラン
Zoom Workplaceのライセンスプランは以下の通りだ。
- Basic
- 無料プランであり、HD(High Definition)ビデオと音声通話、基本的なコラボレーション機能を提供する。1対1のミーティングは時間無制限だが、グループ会議は40分に制限されている。
- Pro
- 月額15.99ドル(年払いの場合は月13.33ドル)からで、グループ会議の時間制限がなくなり、追加のクラウドストレージ、AI(人工知能)アシスタントツール「Zoom AI Companion」やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)でのライブストリーム配信などが利用可能となる。
- 日本円の場合は月額2399円(税別)。年払いの場合は月1999円(税別)。
- Business
- 月額21.99ドル(年払いは月18.32ドル)からで、Proの機能に加えて、最大300人までの会議参加、シングルサインオン、クラウド録画が含まれる。
- 日本円の場合は月額3299円(税別)。年払いの場合は月2749円(税別)。
- Business Plus
- 月額26.99ドル(年払いは月22.49ドル)からで、10ライセンス以上が前提となる。クラウドストレージが倍増し、IP電話サービス「Zoom Phone」による業務用電話の代替機能も追加される。
- 日本円の場合は月額4049円(税別)。年払いの場合は月3374円(税別)。
- Enterprise
- エンタープライズ向けバンドルとして提供され、最大1000人までの会議参加、クラウドストレージ無制限が含まれる。
Zoom Meetingsとは
Zoom MeetingsはZoom Workplaceの一部であり、テレワークやハイブリッドワーク向けのWeb会議機能を提供する。PC、タブレット、スマートフォンなど、Zoom Meetingsアプリケーションをインストールした端末で利用可能であり、多くの人が「Zoom」と聞いて思い浮かべるサービスでもある。
Zoom Meetingsは柔軟性が高く、1対1の会議から最大1000人まで参加可能な大規模会議まで対応している。カメラ付きの端末であれば、ほぼ全てが仮想会議室となる。
Zoom Roomsとは
Zoom Roomsは、企業の会議室に設置されたオーディオビジュアル(AV)機器をZoomのシステムに統合するものだ。Zoom Roomsの専用ライセンスにより、社内の会議室やハドルルームがZoom対応の会議室となり、会議室特有のさまざまな利点を生かした会議運営が可能となる。
最近の会議室にはビデオカメラやテレビ、プロジェクター、音声会議用のハードウェアやソフトウェアといったAV機器が備わっている。これらを活用することで、画面共有やデジタルホワイトボードの利用、会議室にいないリモート参加者とのシームレスなコミュニケーションが実現する。
Zoom Communicationsは、組織の規模や設置場所に応じて複数のZoom Roomsライセンスを販売している。Zoom RoomsはZoom WorkplaceのEnterpriseプランにも含まれている。
Zoom Roomsの専用ライセンス
Zoom Roomsの専用ライセンスは以下の通り。
- Rooms
- 月額49ドル(年払いは499ドル)からで、「ホワイトボード プラス」、ワイヤレスでの画面共有、ワンタップでの会議参加が可能。
- 日本円の場合は月額7350円(税別)。年払いは7万4850円(税別)。
Zoom MeetingsとZoom Roomsの選び方
Zoom Communicationsは、ハードウェア自体を製造・販売しているわけではなく、Zoom Meetingsに対応する複数のサードパーティー製品ベンダーと提携している。ビデオカメラやマイクが備え付けられた会議室であれば、これらの機器を利用してZoomを活用できる可能性がある。
Zoom Roomsライセンスで利用できる会議室向けの主な機能は次の通りだ。
- ワンタップでの即時会議開始
- ワイヤレスでの画面共有
- 会議室のスケジュール管理ツールや専用ハードウェアとの統合
(翻訳・編集協力:編集プロダクション雨輝)
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