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そのSMS、開いて大丈夫? 攻撃者が「スミッシング」に目を付ける理由詐欺メールよりも“効果的”な攻撃

フィッシング詐欺の手法は進化を遂げており、その手口はSMSにも拡大してきている。SMSを悪用する「スミッシング」は、なぜメールを用いたフィッシング詐欺よりも危険なのか。攻撃を未然に防ぐための対策とは。

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 「スミッシング」(smishing)は、スマートフォンのショートメッセージサービス(SMS)機能を悪用して受信者をだまし、機密情報を入力させたり、悪意のあるリンクをクリックさせてマルウェアをダウンロードさせたりするフィッシングの一種だ。スミッシングはフィッシングの中でも特に危険だと指摘する専門家もいる。その理由とは。

スミッシングがフィッシングよりも危険な理由

 私用スマートフォンが狙われた場合でも、スミッシングは企業全体に被害を及ぼし得る攻撃手法だ。攻撃者は、侵入したスマートフォンから業務用の認証情報を抜き取ったり、スマートフォンをマルウェアに感染させて企業の社内LANへの侵入経路を設けたりする恐れがある。

 メールを使うフィッシングについては、企業のセキュリティ研修をはじめ、危険性を認識する機会がある。このような機会を通じて、メールのリンクをクリックすること自体が危険であるという意識が、従業員に根付きつつある。一方スミッシングに関しては、理解の醸成や対策はフィッシングよりも手薄であり、「迷惑SMS」は「迷惑メール」ほどの知名度がない。そのため、SMSメッセージの開封率はメールよりも高くなりやすいという見方があり、攻撃者にとっては効率的な攻撃方法となっている。

 SMSで送信可能な文字数はメールよりも少ないため、不審な点があっても気付きにくい。これも、SMSメッセージの開封率を上げる要因だ。

 スミッシングの課題は、既存のセキュリティツールでは防ぎづらいことにある。SMSメッセージは企業の社内LANを経由せず、モバイル回線を通じて送信者から受信者に直接送信されるので、社内のセキュリティツールでフィルタリングすることが困難だ。

 発生したスミッシングを検出できるツールは存在する。ツールを活用することで、従業員を標的としたスミッシングの攻撃パターンを特定し、対策を取ることは可能だ。従業員が不審なSMSメッセージを受信した際に、情報を転送できる専用の窓口を設けている企業もある。ただし、これは事後対応であるため、根本的な予防策とは言いにくい。

スミッシングを未然に防ぐ対策は?

 スミッシングを未然に防ぐためには、従業員研修で以下の内容を共有し、スミッシングとその対策に関する情報を周知することが重要だ。

  • スミッシング攻撃の具体例
    • 銀行口座の情報を送る要求、不自然な表現、次の行動を急かす文章、知らない電話番号、短縮URLなど、攻撃の兆候となる情報がSMSメッセージに含まれている。
  • 不審なSMSメッセージを受信した場合の動き方
    • 受信したSMSメッセージを開封しても問題がないかどうかを判断するための情報と、不審なSMSを受信した場合のIT部門への連絡手順を共有する。
  • スミッシングの被害に気付いた場合の動き方
    • 被害を受けた際に取るべき行動、IT部門への連絡方法、デバイスの隔離やスキャンといった対策について説明する。
  • セキュリティ全般の知識と対策
    • 1つのデバイスで業務用と個人用のデータを保護するための施策、デバイスの安全な使用方法など、セキュリティを保持するための原則を周知する。

スミッシングを防ぐための訓練

 テスト用のSMSメッセージを使って、従業員に訓練を実施するのも一つの策だ。

 訓練では、荷物の配送状況を追跡するための追跡番号や、パスワード再設定用のリンク、勤務先の総務部から書類が届いたという情報など、現実的な内容を含めたSMSメッセージを用意する。社内で使用しているツールや外部のサービスを使ってSMSメッセージを従業員に送信し、リンクをクリックしたかどうかを記録する。リンクをクリックした従業員には即時に通知を送信し、訓練であることを理解してもらう。

 定期的に訓練を実施し、毎回異なるフォーマットのSMSメッセージを用意することが重要だ。毎回同じような内容のSMSメッセージを送信したり、同じような時間帯に送信したりすれば、従業員はそれが訓練だと見抜いてしまう。本物と誤解してしまうSMSや訓練を組み立てることが鍵となる。

 訓練で不合格となった従業員の情報は記録しておき、どの従業員がスミッシングの被害を受けやすいか、傾向を明らかにする。これによって、訓練の内容をより効果的なものにすることが可能だ。

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